査定バイヤーが出会った”希少な逸品”への熱い想いを語る連載企画。
第1回は、これまで5万件を超える品々と真摯に向き合い、その価値を的確に見極めてきた西野が担当します。トレファク店舗の店長を経てトレファク出張買取専属の査定バイヤーへと転身し、業界歴18年を超える確かな審美眼を持つベテランです。
そんな西野が忘れられないと語る逸品は、約100年前に製造されたLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の巨大トランク「マル・オー」。Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の原点となるトランクの歴史を紐解きながら、受け継がれるコレクションや価値のある珍しいアイテムを、西野が自身の言葉で解説します。
今回の語り手

「トレファク出張買取」
ブランド品担当査定バイヤー
西野
トレファク店舗のスタッフからキャリアをスタート。査定実績を評価され、入社して間もなく店長に抜擢される。その後、ブランド品を中心とした幅広い専門知識を活かし、終活・生前整理サービス「Regacy(レガシー)」の専任バイヤーを歴任。眠っていた品物の「本当の価値」を見極める高い鑑定力と、お客様に寄り添う丁寧な接客で支持を集め、現在はトレファク出張買取の査定バイヤーとして活躍している。

プライベートで愛用する、祖父の形見として譲り受けた眼鏡ケースは、イタリアのデザイナー・ジウジアーロ氏と「ニコン」が1980〜90年代に共同開発した眼鏡のオリジナル付属品。MA-1ジャケットのようなミリタリー特有の機能美とデザイン性に惹かれ、日々大切に使用している。
記憶に刻まれた、Louis Vuittonのアンティーク

査定歴18年間の中で、これまでにさまざまなハイブランドのお品物を見てきました。なかでも深く記憶に残る逸品が、今回ご紹介するLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のトランク「マル・オー」です。19世紀後半から20世紀初頭にかけて製造された、歴史的価値の高い貴重なアンティークでもあります。
ブランドの創業者であるルイ・ヴィトン氏は、1837年にトランク製造職人に弟子入りして研鑽を積み、1854年に自身のアトリエを開きました。現在でこそバッグの印象が強いかもしれませんが、この旅行用のトランクがLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の原点であり、ブランドの歴史を語る上でも、特別な存在なのです。
Louis Vuittonが挑んだ新しい旅の形「マル・オー」

交通手段として馬車が主流だった時代、トランクのフタは雨が流れ落ちるように、カーブのついた丸い形状が一般的でした。その後鉄道や船での旅が広まると、ルイ・ヴィトン氏はいち早く、トランクを積み重ねられる「平らなフタのトランク」を考案。それがこの「マル・オー」です。
「マル・オー」は、旅の美学を追求したトランク製造職人であるルイ・ヴィトン氏の魂が宿る、歴史的資産とも言える逸品なのです。
「歴史と共に次の方へ」お客様から託された想い

こちらの逸品を保管していたお客様も歴史的価値を認識し、大切に受け継いで来られたそうです。昔の船旅や鉄道旅行用に作られた「マル・オー」は底が深い箱型の大型トランクで、サイズは幅100cmをゆうに超えます。
現在ではサイドテーブルとして利用する方もいらっしゃるようですが、実用的な使い方が限られるため、ご自宅に長く鎮座している状態だったそうです。「次の方に譲りたい」という思いから、出張買取のご依頼をいただきました。
保存状態としては年代特有のお傷みはありましたが、一点モノに近い100年以上前のお品物。歴史的価値も踏まえて評価し、買取させていただきました。
細部に職人の魂を感じるたたずまい

Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の「マル・オー」の査定を依頼されたときには、「まさかこんな年代物の逸品が!」と、想像を超える驚きがありました。気品を感じるたたずまいに見とれてしまいましたね。ウッドパーツやリベットに経年変化による重厚感が見られ、長い歴史を刻んだ素晴らしいお品物だと分かります。
「マル・オー」は船や汽車に積載して荷物を運搬するための木製のトランクです。現行の革製品の小型トランクやアタッシュケースとは作りが異なり、長い船旅や荷積みに耐えられる非常に丈夫な設計になっています。Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)らしいエレガントさは残しつつも、耐性に重きを置いた作りが特徴です。
補強のために外面にウッドパーツを当て、キャンバス生地が傷つかないように保護。さらに上から多数の真鍮のリベットを打ち込み、強度を上げています。ヴィンテージならではの職人の工夫が随所に見られ、ブランドの創業者であるルイ・ヴィトン氏の魂に触れたような気がしました。
傷や汚れ以上にアンティークとして高く評価

長い歴史を旅してきたアンティークのLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)。査定ではブランドを象徴するモノグラムの作りや、年代を推定するためにラベルを拝見します。
当時のモノグラムは、職人による手作業で一つ一つ仕上げられていて、アンティーク特有の深い風合いが出ています。ラベルに書かれた店舗名や商品特徴を拝見し総合的に判断した結果、約100年前の製造品であると読み解くことができました。
補強のために施されたウッドパーツやリベットが、結果として鑑賞に耐える優れた装飾にもなっています。「マル・オー」は本来の目的を果たすための実用性と、デザイン性(造形美)が両立された逸品と言えます。

「マル・オー」のようなアンティークトランクでは、鍵のような付属品の欠品やシミなどの汚れ、痛みがあっても買い取れる可能性が高いです。
古い時代のトランクは、アンティークコレクションとしてはもちろん、インテリアとしても需要が高く、現代では本来の用途以外にもサイドテーブルや収納ボックスとして活用されています。お品物によっては数十万〜百万円ほどの査定額につながることも少なくありません。まずはお客様の想いが第一です。
Louis Vuittonの意外な買取品

Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の世界は、バッグだけにとどまりません。
これまでに査定した珍しいお品物のひとつに、近未来的なデザインのワイヤレススピーカーがあります。まるでUFOのような不思議なフォルムに、ブランドを象徴するモノグラムが刻印されています。査定の現場では、一見「これは何だろう?」と用途が分からないお品物を拝見する機会も多く、そうした出会いの中に、この仕事ならではの深い面白さがあります。

こちらは革製のケースに入ったBluetoothイヤホン。Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のようなハイブランドのアイテムは、人とかぶらないレアな限定品に魅力を感じるコレクターも多く、中古市場では高値で取引されることもあります。

モノグラム柄のキャディーバッグは、伝統的な鞄作りで名を馳せたLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)らしく堅牢な作りで、十数本のゴルフクラブをしっかり収納できます。
中古市場では、珍しいお品物ほど付加価値がついて評価に反映されることがあります。Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)は、ライフスタイルアイテムこそ市場に出回る数が少ない希少品。なかなか目にすることがない珍しいお品物を拝見できるのも、バイヤー冥利につきますね。
中古市場で圧倒的な価値を誇るLouis Vuitton

数あるハイブランドの中でもLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の存在感は格別です。アイコニックなLVロゴ、モノグラムやダミエといった名作ラインは、世代や性別を超えて世界中で愛されています。コレクターのみならず、誰もが一度は憧れる至高のブランドではないでしょうか。
また、職人の手によって仕立てられた製品は驚くほど丈夫で、時代を超えて長く愛用できる所が最大の魅力です。だからこそ、次の持ち主へと紡ぐリユースとの相性も抜群なのです。
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のお品は出張買取の現場でも出会う機会が多く、そのぶん私にとっても思い入れの深いブランドと言えます。お客様の大切な想いに寄り添い、確かな価値を次の方へと手渡していく――。バイヤーとして、その架け橋となる役割と責任の重さを、日々肌で感じています。
保証書がなくても確かな価値を見極める

ブランド品の買取の際、「保証書やレシートをなくしてしまって……」と心配されるお客様は少なくありません。もちろん、購入時の付属品があるに越したことはありませんが、紛失してしまった場合でもご安心ください。
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のように、もともとギャランティカードを発行していないブランドもあります。私たちはカードの有無にとらわれず、お品物そのものの仕立てや細部の作りから、価値を正しく評価できる査定力を持っています。
また、「こんなアイテムでも相談していいのかな?」と迷われるような珍しいお品物でも大歓迎です。価値を見極め、大切に査定させていただきます。
(今回の語り手:「トレファク出張買取」ブランド品担当査定バイヤー 西野)
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。