家具の選定やレイアウト計画のほか、商業施設のインテリアデザイン設計も手掛ける、インテリアトータルプロデューサーのMAKOさん。
本企画ではデザイナーズ家具をテーマに、インテリアプロデュースの観点からおすすめの家具をセレクトいただきました。
プロフィール

MAKO(まこ)
株式会社 Laugh style 代表。インテリアトータルプロデューサー。
“笑顔あふれる空間”を理念に、医院・サロン・オフィス・個人宅等のインテリアコーディネートをはじめ、企業と提携した商品・店舗のプロデュース、セミナー講師として幅広く活動。テレビ・ラジオ・雑誌など、数多くのメディアに出演している。InstagramやYouTubeでは無料プレゼントやインテリアコーデのテクニック紹介も人気。
あらためて、デザイナーズ家具とは何かを考える

MAKOさんが考える、デザイナーズ家具とは何ですか?

一般的な量産家具とは異なり、芸術性や機能性において長年高く評価されているもの。名の知れたプロダクトデザイナーや建築家が設計していることが多く、デザイン性の高さと品質の高さが魅力です。
時代を超えて愛されていることは前提として、時代を超えて価値を持ち続けるものとして、多くの人に支持されている家具といえます。

では、王道・定番のデザイナーズ家具についても教えてください。

私の中で定番といわれる商品は、一般の方もよく足を運ぶ家具屋さんで見かけるシリーズのもの、雑誌に掲載される頻度が高いもの、よく見かけるものが定番という位置づけです。
例えば下記などは定番のデザイナーズ家具といえます。長く愛されているものですが、現在でも購入できる環境が整っているので、取り入れたい方は参考にしてみてください。
Yチェア CH24 デザイナー/ハンス・J・ウェグナー

Designer: Hans J. Wegner
Production: 1950
曲木製のアームを支えるY字形の背もたれが特徴のYチェア。素晴らしい座り心地と使い勝手、そして特徴的なラインを描く美しいフォルムなど、椅子に求められる機能性と見た目の美しさを同時に満たす椅子として世界的に高い評価を得ている。
セブンチェア 3107 デザイナー/アルネ・ヤコブセン

Designer: Arne Jacobsen
Production: 1955
デザイナーのアルネ・ヤコブセンがスチーム成型合板の可能性を探る中で生まれたセブンチェア。家具の歴史の中におけるアイコン的存在。特徴的なこのフォルムは、多用途でどの時代にも色褪せず長く親しまれている。
バルセロナチェア デザイナー/ミース・ファン・デル・ローエ

Designer: Ludwig Mies van der Rohe
Production: 1929
バルセロナ万博でドイツ館に来館するスペイン国王夫妻を迎えるためにデザインされた椅子で、モダンデザインの傑作といわれている。彫刻のように美しいクロスしたメタルの脚部は背もたれへと延び、クッションを軽やかに支えるフレームと一体化している。
タリアセン2, 3, 4 デザイナー/フランク・ロイド・ライト

Designer: Frank Lloyd Wright
Production: 1952~
建築家のフランク・ロイド・ライトがデザインした、インテリアでありながらエクステリアを思わせるフロアスタンド。箱のようなシェードと遮光板の連続からなるオブジェのような佇まいが印象的。
コーヒーテーブル デザイナー/イサム・ノグチ

Designer: Isamu Noguchi
Production: 1944
ガラスの天板や脚部が有機的なフォルムで、まるで彫刻作品のようなデザイン。彫刻家であるノグチは、自身のこれまでの家具作品の中で最高のデザインであると考えていたそう。
ボビーワゴン デザイナー/ジョエ・コロンボ

Designer: Joe Colombo
Production: 1970
製図用品を収納するためにデザインされた、機能的に使えるデザイン性と省スペース化を実現した名作ワゴン。本体を180度回転させることでワゴンの4面すべてを効率的に使用することができる。
MAKOさん流 名品家具Myベスト5

名品が数多くあるデザイナーズ家具から、MAKOさんの視点でMyベスト5を教えてください!

あくまで私の視点になりますが、これぞデザイナーズ家具と呼べるMyベスト5を選んでみました!
スーパー楕円テーブルシリーズ

Designer: Bruno Mathsson / Piet Hein
Production: 1968

このテーブルの天板は長方形と楕円を重ねて、その中間点を結んで描いています。
数学者でもあるデザイナーのピート・ハインが、ストックホルムのロータリー交差点から着想を得てデザインしたといわれています。なんともいえない形の天板に、細いのに丈夫で安定性のある脚部分、その美しさに驚きました。
ロゼトーゴソファ

Designer: Michel Ducaroy
Production: 1973

蜂のお腹をモチーフにした曲線が独特なフォルムをつくり、アイコン的な存在感を放つロゼトーゴソファ。比較的どんな空間にも合わせやすいのに、部屋に個性をプラスしてくれます。
一体型の低いフォルムに加え、多層構造のクッションと奥行きの深さにより体にフィットし、まるで包み込まれるような極上の座り心地。色が違うだけで雰囲気がガラッと変わる面白さもあります。
イームズアームシェルチェア(ロッカーベース)

Designer: Charles and Ray Eames
Production: 1950~

チャールズ&レイ・イームズは、第二次世界大戦中に開発された成型技術を採用して、クラシックなシェルチェアのシンプルで優雅なフォルムを生み出しました。現在は、ビンテージなカラーとコンテンポラリーなカラーの両方で展開されています。
私は、リプロダクトと正規品の二つを持っていましたが、ロッキンの具合は正規品の方が文句なしの絶妙な加減でした。子供もそちらばかりを利用しています。
USM ハラー サイドボード・キャビネット

Designer: Fritz Haller
Production: 1963

スイスの家具メーカーと建築家フリッツ・ハラーが共同で開発したモジュラーシステム。ニーズに合わせて形やサイズ、機能を自由に変更でき、「一生をともにするべきインテリア」としてデザインされたもので、今でも色褪せないモダンファニチャーとして愛されています。
私も「インテリアに携わる仕事だからこそ、長く使える良いデザインを」という思いから、事務所で収納棚が必要になった際にこちらを選びました。
ドロップチェア 3110

Designer: Arne Jacobsen
Production: 1958

ユニークなしずく型のフォルムが特徴的なドロップチェアは、コペンハーゲンのSASロイヤルホテル用に限定製造されたもの。その後2014年に復刻しました。
背中から太ももまでがすっぽりと包まれるような独特な座り心地は、抱擁からインスピレーションを得たといわれています。
インテリアでありながらもオブジェのような存在感を放ち、部屋のアクセントになるチェアです。
MAKOさんが特に思い入れのある愛用家具

デザイナーズ家具はどれも魅力的ですよね。あえて1つ、自分にとって思い入れのあるものを選ぶとすると何になりますか?

とても難しい質問ですが、私にとってはペンダントライトの「LCシャッターズ」が特に思い入れのあるデザイナーズ家具といえるかもしれません。
LCシャッターズ


Designer: Louise Campbell

この照明は、一枚の金属シェードを巧みに加工することで作られる独創的なデザインで、光が細かいスリットから漏れ出るようにして、奥行きある光を楽しめます。
シェード内のランプは完全にカバーされており、直視した際の眩しさは抑えつつも部屋全体を効率的に優しい光で照らしてくれます。
他のペンダント照明ではなかなか味わえない光の漏れ方がとても気に入っていて、どんなお部屋のスタイルにも合わせやすい為、購入してから10年以上たち3度引越しをしていますが、ずっと現役で活躍してくれています。
寝室で使用したり、リビングダイニングで使用したりと、私の部屋づくりには手放せないアイテムです。
豊かな暮らしにデザイナーズ家具を
デザイナーズ家具は敷居が高いイメージを持つ方も多いかもしれませんが、時代を超えて価値が変わらない品質とデザインは、現在だけでなく長く一生ものとして迎える価値があるものです。暮らしの質や心を満たす存在として、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
MAKOさんのインテリアコーディネートは、部屋全体はもちろんのこと、部屋の1コーナーを時間制でインテリアコンサルするサービスもあります。新築や引越しのタイミングで活用する方も多いそうなので、家具選びやコーディネートの相談もおすすめです。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。